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江原正士の吹き替え作品を特集! ムービープラス、「吹替王国」第9弾を4月30日放送

CS映画専門チャンネルの「ムービープラス」では、声優にスポットを当てた人気企画「吹替王国」を実施していますが、これは特定の声優にスポットを当て、その声優が吹替えた作品を集めて特集放送するプログラムとなっており、9回目となる今回は江原正士さんを特集します。
トム・ハンクスやビル・マーレイの吹替えでおなじみ、アニメなどでも活躍している江原正士さん。「吹替王国」ならではの特別CMナレーション収録が行われ、その後にインタビューも行われました。

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---吹替王国も9回目になりますが、最初にお話を聞いたときのお気持ちなどをお願いします。
吹き替え企画に呼んでいただけるなんて嬉しい限りです。ちょっと今、吹き替えが弱っているかなという感じなので、ぜひ盛り上げていただきたいなと思います。
 
---今回、トム・ハンクスの『グリーンマイル』などを放送しますが、先ほど「オモシロCM」のナレーション収録をしましたが、やってみていかがでしたか。
ああいう仕上がりになるとは思いませんでしたけど、ありがとうございます(笑)。『グリーンマイル』は複雑な作品ですが、ああいう風に明るく仕上げてもらえると、皆さんにも楽しんで観ていただけるんじゃないかと思ってうれしいです。これをきっかけに作品に触れていただけると余計にうれしいです。

---『グリーンマイル』の吹き替えをやられたときの思い出などをお願いします。
大変でした。トム・ハンクスはとても集中力のある役者さんなんですが、この作品は余計に集中力がいるので。ただセリフを楽なところで乗っけてもだめなので、セリフを喋る前に、シーンの状況とか彼の気持ちを作って凝縮していかないと、あの画面にはじかれちゃうんですよね。だからあの画の中に入り込むまでに結構リハを重ねました。ずーっとあの映画の世界に浸るっていうか、自宅でずっと映画を観ていたように記憶しています。

---トム・ハンクスの吹き替えをいろいろとやられていますが、それらともアプローチは違いますか。
全く違いますね。『アポロ13』とも違いますし、最近の『インフェルノ』とも全く違います。『グリーンマイル』は、特異な作品ですよね。
『グリーンマイル』は、家の近く(の映画館)で半年くらい字幕版をやっていたので、決まってから慌てて観にいきました。なかなか深遠なドラマで、(吹き替え版を)観てくださった方は結構喜んでいただけたみたいです。チームも良かったですし、厚みが違いましたよね。

---そのときは、皆さんそろって収録されたのですか。
そろって録ってます。『グリーンマイル』は、ディスク版とオンエア版で2回録ってますね。2回目を録るときには前のを見ないようにしてます。脚本も新しい脚本ですし、キャストも違いますので、ゼロからやってます。(2回目でも)同じくらい疲れますね。でも、いい作品に巡り合えて本当にうれしいです。

---『ヴィンセントが教えてくれたこと』では、コミカルというかクセの強いオヤジの役ですが。
ビル・マーレイはよく演じさせていただきましたが、おとぼけおじさんが多い(笑)
ところが、今回はビル・マーレイが演技派を少し意識しているという話もあって、制作サイドからは、わりと堅めの芝居を要求されたので、いつもの彼とはちょっと違うニュアンスが出ているかもしれません。「キツイ」というか「イヤなオヤジの感じ」というのを意図的に出しています。

---『トリプルX』も、骨太なアクション、ちょっとマッチョな感じも出ているのですが、役作りはどういった感じでやられるのですか。
時間はかかりますが、リハーサルをしていくと画面と一体化して、何をやっても気持ちがヴィン・ディーゼルになってくるんです。トム・ハンクスもそうです、こう首を傾けた瞬間に、トム・ハンクスになれるんです。画面に自分が入る…、ヴィン・ディーゼルもそうですよね。ちょっと緩慢な動き、横柄な感じが出てきて、そういうアクションが日常生活でちょっと入ってくると、「来てるかな」という感じで。
彼の声は、自分のイメージでは、タフガイ風の「ドン」としたカンジがいいかなと。そして少しコミカルな印象もあったので、そういったところも入れつつ、という感じですね。

---役作りをしているときは、ヴィン・ディーゼルに入っているという感じですか。
そうですね。台本いただいて録音するまでは、私は、僕は、俺は多分…ヴィン・ディーゼルです。ちょっとした仕草に、映画のワンシーン(と同じポーズ)になっているときがあって、その瞬間がくれば自分に彼が入ってるなと思えるわけです。

---いろいろな作品を同時進行していると大変では。
今までで一番忙しかったのは、週に5本の主役があったときで、もうないでしょうけど(笑)、そのときに困ったのは真ん中の作品の主役が誰だかわからないんです。
ディレクターさんに聞くわけにも行かないし。それがエディ・マーフィだったんですね。前にやっているのでキャラは分かっているからいいとして、セリフが多いので仕込みが大変なんですよ。このときはいつ寝ていたのか覚えていません。(笑)

---いろいろな方の吹き替えをやられていて、自分に一番近い方はいらっしゃいますか。
トム・ハンクスがそうなっちゃったかもしれません。もしかしたら一番近いのではないかと思います。来日時のあのはしゃぎ方とかを見ると、なんとなく自分にも似てるのかなと感じますしね。あとウィル・スミスは、特に『メン・イン・ブラック』のやんちゃな感じが自分にも入り込んでしまったような?そんな感じです。

---江原さんといえばアドリブもいろいろされているイメージがありますが、今回の『グリーンマイル』ではアドリブはいれましたか。
あまり無いはずです。それにたくさん喋る早口な役ではなかったので、普段5~6行喋るところを1行半とか2行とかのセリフが多いので、その分相手を見つめてから言うような、「一言に重きを置く」演技でした。『ターミナル』とかとは違いますね。

---いちばん最初に、トム・ハンクスの演技を見たときに印象、感想などをお願いします。
トム・ハンクスの演技をじっくり見たのは、僕がはじめてハンクスを演じた『フォレスト・ガンプ/一期一会』だったんです。ちょっと特異な役柄なので、大げさに演じてしまいがちですが、僕はあえてそうせず割とあっさり目で作ったらOKが出ました。
ディスク版のトム・ハンクスは、少し反応が遅いとか、相手への信頼感が強いとかはありますけれども、わりとシンプルな演技になってます。ただオンエア版は、間にCMが入りますので、少し役作りを強めにやりました。
(トム・ハンクスの印象は)コメディっぽい方なんですけれども、心の奥深い方といいますか、真摯な方だなと思いました。コメディなんだけれども、根底には人間の琴線に触れるところをしっかりもっている方だなと思いましたね。不思議な人だなと思いました。
『グリーンマイル』を観たときはビックリしましたね。少し神々しい話を演じても違和感が無いので、トム・ハンクスは凄い役者だなと思いました。だからそれを壊しちゃいけないという想いもありましたし、「絶対オリジナルに負けない」「近いところまで持って行くんだ」という気概もありました。

---江原さんといえば、「トム・ハンクスが日本語でしゃべり出した」ように、しゃべりとか声がそっくりなのですが、これはどのようにしてそこまで持って行くのでしょうか。
何回も練習するのみです。声も「似てるよね」と言われる部分があると思いますが、それを追いこんでいけば、違和感無いところまでは行けるかな、とは感じますね。今回も『インフェルノ』を劇場でやったときに「トム・ハンクスが日本語喋ってましたね」と言っていただけて、嬉しかったですね。でも創るのは僕たちだけじゃないですから。僕らが喋った音声をミキシングするエンジニアの方がいるわけで。スタッフさんたちがいて、作品が皆さんに届くわけですからね。

---すこし離れますが、「演じること」を始めたきっかけはどのようなものでしたか。
役者になりたくてなったわけでは無いんですね、流れですね(笑)
元々、チャップリンが大好きで、凄いなと思っていて、そこから映画監督に憧れて、そちらに流れていき、そこである映画監督の講義を聴いていたら、表現とはなんだろうかとなって。芝居に興味を持ったのが、失敗の切っ掛け?ですか(笑)
そこから、いろいろな表現に触れていったのですが、仲代達矢さんの舞台を見たときに外国人俳優が出てきたかと思ったくらい。量感が違って、あの目でしょ。カルチャーショックを受けましたよ。それで『リチャード三世』をたまたま見に行ったら、学生の授業観覧か何かで、うるさいんですよ。ベルが鳴ったって静かにならないのに、幕が開いて仲代さんが舞台の前面まで迫り出てきて、子どもたちを睨みつけながら長台詞を始めたら、水を打ったように静まり返ったんですね、役者の力をまざまざと見せつけられ感動しました。それで劇団に入って、そして吹き替えの仕事に入って、ここまでやってきました。

---昔と今とで吹き替えなどに違いとかはありますか。
一番大きい違いはテクノロジーですね。僕らの頃はテープで録るので編集は大変だったのですが、今は「プロツールス」(編注:ラジオやCDの制作現場から映画や放送局の音響制作分野まで幅広く使用されている、音声・楽曲の収録・編集システム)で完全同期できるようになったので、テクノロジーの進歩によって「口が合う」ことを以前よりも求められる時代になってきたのは事実です。僕らの先輩の時代は14インチのブラウン管でしたから、多少口がずれていてもわからないですよ。今は、40インチとか50インチとか、ましてや劇場公開となると、口がずれているのがわかってしまう。なので、それを前提として芝居を作っていくという難しさはあると思います。そこを乗り越えるべく、いろいろなものを要求されているのだと思います。

---そういったハードルがあがっている現状でも、吹き替えに大切な物はなんでしょうか。
それは芝居心です。模範解答に聞こえちゃうかもしれないですけど、作品に即した内容を伝えるということが一番大事じゃないかな、と。それを失ったらダメですよね。あるいは原作をこちらで底上げしていくような気概というか。

---逆に、母国語では無いが故に、オリジナルのニュアンスが100%再現できないジレンマもあるとおもいますが。
いろいろな方法があって、人によって選択肢は違うと思うのですが、「面白いな」と思うニュアンスを絶対に失ってはいけないですし、それに近いニュアンスを作ることができるセリフを構築していって、あとは芝居ですよね。そうやって作り上げていくしかないと思います。まぁ遊びの部分でアドリブとかは提案できますからね。たまに採用されれば、嬉しいですし盛り上がりますから、それは現場での楽しみでもあります。

---それでは最後に映画を観て下さる方へのメッセージをお願いします。
ムービープラスをご覧の皆さま、本当にありがとうございます。確かに字幕も面白いです。
でもそれを僕らがわかる言語、日本語で観るとより身近に感じることもあります。
原語で聞いている方、あるいは原語に堪能な方は別として、字幕は文字制限があるので、すべて表現するのは難しいですからね。
日本語版を観て「えっ、そうだったのか」と発見もたくさんありますので、字幕版を見ている方もぜひ一度は日本語版を観ていただきたいですね。
そして日本語でわかる面白さとかを、ぼくの仲間が一生懸命吹き替えてますので、ぜひ日本語版作品に触れてみて「日本に生まれて良かったな」ということを実感していただければと思います。

---ありがとうございました。

インタビュー時間が足りなくなるくらいに、役者になる切っ掛けや役作りの極意など、貴重なお話をしていただきました。そんな江原正士さんの吹き替え作品が楽しめる、「吹替王国」は4月30日に放送されます。

■吹替王国#9声優:江原正士 トム・ハンクス 『グリーンマイル』編

■吹替王国#9声優:江原正士 ビル・マーレイ 『ヴィンセントが教えてくれたこと』編

■吹替王国#9声優:江原正士 登場編

『吹替王国 #9 声優:江原正士』
CSムービープラス
2017年4月30日(日)16:45~翌0:30


★ビル・マーレイ主演作★
『ヴィンセントが教えてくれたこと【日本語吹替版】』
放送時間:4月30日(日)16:45~18:45
© 2014 St. V Films 2013 LLC. All Rights Reserved.


★ヴィン・ディーゼル主演作★
『トリプルX【地上波吹替版】』
放送時間:4月30日(日)18:45~21:00
© 2002 Revolution Studios Distribution Company, LLC. All Rights Reserved.


★トム・ハンクス主演作★
『グリーンマイル【日本語吹替版】』
放送時間:4月30日(日)21:00~翌0:30
©1999 CR films,LLC.All Rights Reserved.©1999 Universal Studios.All RIghts Reserved.

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